こんにちは♪♪
オリオン歯科汐留 受付の南雲です。
今日は学齢期の歯並びが審美的なもの以前にどのような事に影響するかについてお話ししていこうと思います。
学齢期には、すでに摂食、言語などの基本的な口腔の機能は獲得されています。しかし、学齢期は顎の成長や歯並び、噛み合わせの変化などに応じて、新たに口唇や舌の動かし方や噛み方、噛む力の調節などを覚える時期でもあります。そのため、この時期の歯並び、噛み合わせの不正や様々な口腔習癖は口の機能に多大な影響を及ぼします。この時期の問題が見過ごされると、そのまま成人期に入っても機能的な問題が継続しやすくなります。
適切な時期に矯正治療を行ったり口腔習癖に対する指導や筋機能訓練を行う事は口腔の健康を維持、増進する上でも重要です。
《①咀嚼への影響》
叢生・空隙歯列などの歯並びの不正や、上顎前突・下顎前突・過蓋咬合・開咬などの噛み合わせの不正は、口の機能に様々な影響を及ぼします。食育基本法の制定により、学齢期の歯科保健でも食育(食教育)への関心が高まっており、『よく噛んで食べる習慣づけ』や『好き嫌いをつくらないこと』が課題としてあげられていますが、硬さや大きさのある食べ物を噛み切り咀嚼する為にも、よく噛んで味わって食べる為にも上下に歯列弓がきちんと噛み合う事が大切です。
上・下顎の前突が著しい場合や開咬があると、前歯でうまく噛み切れないため、大きめの食べ物を一口大に噛みとれずに一口量の調節が難しかったり、麺類などの長い食べ物を適当な長さに噛み切る事が難しくなります。
また、叢生や不正咬合で上下の歯がうまく噛み合っていないと、咀嚼の効率が悪くなり、硬さや弾力性のある食べ物を粉砕し、唾液と混ぜ合わせて食塊形成する(飲み込みやすい形にする)ことが困難です。そのため、噛み潰した程度の粗刻み状態で飲み込んでしまうことになりがちで、『丸飲み』『早食い』などの食べ方の問題につながることもあります。これらの事からあまり噛まなくてもよい軟食に好みが偏り、噛み応えのある食品を避けるなどの問題も生じ易くなります。さらに乾燥した食べ物や水分の少ない食べ物はよく噛んで唾液と混ぜ合わせないと飲み込み易い形にならないため、食事中に常に水を置いておいて水分で流し込むような食べ方(流し込み食べ)が習慣になる場合もみられます。
また開咬や口唇閉鎖不全があると上下の前歯の隙間に舌を突出させて唾液や食べ物を飲み込むという異常嚥下癖(舌突出癖)も見られやすくなります。
舌を突出させる癖が続くと、開咬はさらに顕著になりがちです。上顎の歯列の狭窄などにより奥歯の噛み合わせがずれていると(交叉咬合)、片側でしか噛めない状態(片噛み)が生じ易くなり顎の成長方向のずれを招く事もあります。
このような咀嚼や食べ方の問題を解消する為にも、矯正治療や口腔習癖に対する筋機能療法による歯並び・噛み合わせの改善が望まれます。
今回は咀嚼への影響という事をお話ししましたが、次回は②発音への影響③顎位や顎関節への影響についてお話ししていこうと思います。