こんにちは。歯科医師の南です。
今日は、まず「日本人の歯のライフサイクル」についてお話をさせていただきます。
厚生労働省による歯科疾患実態調査によると、
多くの人が6、7歳頃に虫歯ができ、
10代、20代で詰め物を入れ、
40代を超えた頃からさらに虫歯が歯根まで広がって神経を抜いてクラウン(被せもの)に。
50代で再び虫歯が悪化して抜歯、ブリッジになり、部分入れ歯、総入れ歯への道をたどっています。
80歳以上では、2人に1人が総入れ歯。
日本では、小さい頃から簡単に虫歯にしてしまい、痛くなったら削って詰めるという治療を繰り返してしまいます。
他の体の部分は、悪くなってからでもほとんど元通りに治癒するので問題ないのですが、歯だけはそうはいきません。
歯は、再生してくるものではないのです。
治療をする度に、健康な歯の部分はどんどん減っていき、いつかは歯を抜くことになってしまいます。
ですから、この再治療のサイクルを遅くする努力が大切なのです。
ムシ歯の治療や歯周病の治療は、悪くなってしまったところへの対症療法でしかありません。
痛くなったら痛みを取り、穴があいたら詰め、歯を失ったら入れ歯を入れる、こうした治療によって、歯が元どおりになるわけではありません。
虫歯のリスク、歯周病のリスクを減らせば確実に繰り返し治療を減らすことができます。
虫歯の原因は虫歯菌、歯周病の原因は歯周病菌で、もともと口の中にいる弱い細菌なのです。
長時間、大量に、同じ場所に居続けさせなければ、虫歯や歯周病にはならないのです。
つまり、虫歯や歯周病など歯を失ってしまう原因となるものは、『予防』が可能なのです。
歯科医院での検診、プロによるメインテナンスをぜひ受けてみてください。
プラークや歯石を取ったり、歯のクリーニングを受けてお口の環境が改善すれば、歯の病気が起る頻度は、グッと少なくなるはずです。
ちなみに、雑誌「プレジデント」の2012.11.12号の特集記事「金持ち老後、貧乏老後」から。。。
55歳から74歳の男女1000人を対象に「今、何を後悔していますか?」と尋ねるアンケート結果をまとめたデータがあります。
アンケートは、「健康」「お金と暮らし」「仕事と人間関係」の3つのジャンルに関して、自分が後悔している項目を全て選んでもらう形をとったとのことです。
「健康」
1位 歯の定期検診を受ければよかった
2位 スポーツなどで体を鍛えればよかった
3位 日頃からよく歩けばよかった
皆さんが後悔している事1位が「歯の定期検診」です。
今からでも遅くはありません。
気づいた時から、『予防』をして、出来るだけ長くご自身の歯を守っていきましょう!
ある患者さんが言っていました。
「自分の歯は財産です」って。
すごく素敵な言葉だな、って感銘を受けました。