こんにちは。歯科医師の南です。
前回の続きとして。。
歯周病が進む様子を段階的に示してみます。
①健康な歯周組織
◎歯肉は薄いピンク色で引き締まっている
◎ブラッシングをしても出血しない
◎歯肉溝は0.5~2mm
②歯肉炎
歯肉のみに炎症が起きます。
歯肉溝に歯垢が溜まり歯肉が腫れてきます。
歯周ポケット(仮性ポケット)も発生します。
◎ブラッシング時に出血。ブラシで歯ぐきを触ると痛む。
◎朝起きた時に口の中がネバつき、苦い味がする。
◎歯周ポケットは2~3mm
◎歯を支えている骨(歯槽骨)は、まだ溶けていない
◎自覚症状はなし
③軽度歯周炎
炎症が内部に広がり、歯と歯の間に3〜4mmの歯周ポケット(真性ポケット)が表れます。
歯垢や歯石が歯周ポケットに溜まりやすくなり、歯周病菌の毒素で歯の周りの炎症が進みます。
歯槽骨も溶け出してきます。
◎歯ぐきが時々腫れる
◎歯石が固まって、出血も常に見られる
◎歯を支えている骨が溶け始める
◎歯周ポケットは3~4mm
◎自覚症状はほとんどなし
④中度歯周炎
炎症がさらに進行。
歯槽骨は1/3~1/2ぐらいが溶け、歯がグラグラしてきます。
歯周ポケットも4~6mmと深くなり、もはや歯ブラシだけでは歯垢も歯石も取りきれません。
菌はどんどん繁殖していきます。
◎歯がグラグラする
◎固いものを噛むと痛みがある。噛みにくい。
◎歯を支える骨は半分ぐらい溶けている
◎歯周ポケットは4~6mm
◎歯ぐきが下がってくるので、歯が長くなったように感じる
⑤重度歯周病(末期段階)
歯槽骨はほとんど溶けてしまい、歯周ポケットは6mm以上となります。
歯の根元の部分がむき出しになり、歯はグラグラ。
やがて自然に抜け落ちてしまいます。
◎歯の根元があらわになる
◎歯肉から膿がでる
◎固いものは噛めない
◎口臭がひどい
◎歯周ポケットは6mm以上
やっとここで歯周病を自覚しても、時すでに遅し。
歯周病の恐ろしさがおわかりになったと思います。
これまで説明してきた通り、歯周病は「治療」する段階では相当に進んでしまっている場合が多いのです。
歯周病もむし歯も治療では元の状態に戻すことはできません。
この危険性を十分に認識し、最大の防御は日常的なケアであることを心に留めてください。
歯を失う原因の第一位は歯周病です。
歯がない状態で毎日バリバリと仕事ができるはずもありません。