コラム

2014.04.07

治療のあとの痛みや違和感について 

こんにちは。歯科医師の南です。

 

 

今日は、治療のあとの痛みや違和感についてお話しします。

 

 

治療後にしみるわけって?なんでしょう。。

 

象牙質まで進んだムシ歯を治療する際、さいわい神経をとらずにすんだ歯に、治療後冷たいものがしみる、違和感がある、強く噛むと痛いなどの症状がでることがあります。

治療自体がうまくいってるのにしみてしまうわけをお話しするには、まずは象牙質の構造の説明が必要でしょう。

 

 

健康な歯は硬いエナメル質で覆われています。

ところがエナメル質に穴があくと、むきだしになった象牙質に加わる様々な刺激が神経に伝わるようになってしまいます。

じつは象牙質は細いチューブを寄せ集めたような構造をしていて、その象牙質のチューブの中を、神経から延びる細長い神経組織が通っています。

つまり、象牙質がむき出しになるということは、「神経がむき出しになるのとほとんど同じこと」なのです。

 

 

治療後にしみるという症状も、やはりこうした構造が影響しています。

むし歯を治療するには、細菌に汚染された象牙質を削って取り除きますが、じつはこのとき、チューブを通る細い神経組織の末端も一緒に切り取らざるを得ません。

むし歯の治療とは、生体を切除するいわば外科処置。

治療後にしばらくしみるのはこういうわけです。

 

また、細菌がチューブから神経へと入り込んでいる場合、生体が炎症を押さえ込むまで軽い違和感があります。

 

しかしよくしたもので、刺激が神経に伝わり続けると、歯は刺激をシャットダウンするために、二次象牙質という防御機構を作り上げます。

これには3ヶ月程罹りますが、二次象牙質が出来ると完全に症状が消え、新たに神経を取る治療を追加しなくても、様子を見ているうちに症状が消えてしまうことがほとんどです。

 

神経は、神経組織以外にも毛細血管などが通っている、歯に栄養を運ぶ大切な組織です。

神経をとっても被せものをして使い続けることは出来ますが、歯の命が失われているため、耐久性が落ちてしまいます。

 

手の加わっていない自分の歯ほど丈夫でいいものはありません。

 

歯科医師も、患者さんが久々に来院するたびに、嫌がられながら硬い歯を削らなければならないのは、気が重いものです。

そこで、治療が終わったら、今度は予防のために歯科医院に通いましょう。

治療の繰り返しから解放されているご自分に、しばらくしてきっと気づくでしょう。

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