コラム

2014.06.17

認知症予防に寄与する歯科の可能性

こんにちは。歯科医師の南です。

 

超高齢社会となった日本において認知症対策が重要になっています。

認知症患者は2025年に470万人に達し、65歳以上の13%となると国は推計しています。

一方、認知症の専門医が不足し、認知症のリスク因子や予防法もほとんどわかっていない状態です。

 

近年、歯の健康を保つ事が認知症予防となる可能性が明らかになってきました。

65歳以上の4425名を4年間追跡調査した結果、歯がほとんどなく義歯未使用の者は、20歯以上の者よりも、認知症発症と関連する要因(年齢、治療中の疾患の有無、運動や飲酒の習慣、体格、物忘れの自覚)の影響を取り除いても、認知症の発症リスクが1.9倍高くなりました。

また、かかりつけの歯科医院をもっていない者は、もっている者よりも発症リスクが1.4倍高くなりました。

 

歯の喪失や義歯の未使用から認知症発症への経路はいくつか考えられるます。

歯を喪失する過程で、歯周炎に罹患し、歯周炎で産生された物質が血液を介して脳に影響する可能性があります。

歯がほとんどなく、義歯未使用の者は、食べられる食品が限定され、ビタミンなどの摂取不足になります。

あるいは、咀嚼しなくなるために大脳への刺激が減少します。

それらの結果、認知症が起こりやすくなるかもしれないのです。

 

すべての国民がかかりつけの歯科医院を持ち、歯科保険指導や予防処置により歯の喪失を防ぎ、義歯などで口腔機能を回復することが大切になってきます。

 

歯科保健医療が口腔の健康の保持増進を通じて認知症予防につながり、超高齢社会における健康寿命延伸に寄与することが期待されます。

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