こんにちは、歯科医師の南です。
歯の美しさを保つ上で、もっとも大敵となるのがタバコです。
タバコほど歯を黄ばませるものはありません。また、歯ぐきの色を悪くさせるものもありません。
ステインを付着させないよう緑茶やコーヒーや赤ワインを控えても、タバコを吸っていてはまったく無意味です。
タバコの汚れの正体は「ヤニ』にあります。
ヤニは非常に歯にこびりつきやすい上に悪臭を放ちます。
ヘビースモーカーの人は道を歩いていてすれ違っただけでタバコの悪臭がぷんと伝わってきますからすぐにわかりますよね。
また、タバコの煙から排出されるニコチン、タール、一酸化炭素などの有害物質は200〜300種ぐらいあると言われ、肺のみならず口の中粘膜や歯ぐきからも吸収されます。
タバコを加え、大きく吸い込むと、有害物質が口中に広がります。
それらが歯ぐきや口の粘膜にしみ込む様を想像してみてください。
ぞっとするでしょう。
吸収された有害物質は歯ぐきの血行を悪くさせ、歯ぐきの色を暗い紫色に変色させてしまいます。
さらにそれだけではなく、免疫力を低下させ、歯周病菌に侵されやすくもなります。
ヘビースモーカーの人は、タバコを吸わない人に比べ、5〜6倍の歯周病発症率と言われています。
でも意外なことに、喫煙者には歯周病の特徴である「歯ぐきの腫れ」「ブラッシング時の出血」があまり表れないのです。
なぜでしょうか?
答えは免疫の低下です。
生体防御反応である免疫は、病原菌が体内に侵入してきた場合、それを防御するための闘いを挑みます。
病原菌と免疫の闘いは「炎症」となって表れます(歯ぐきの場合は、腫れたり膿んだりがそれに当たります)。
でも、喫煙によって免疫が落ちていると、病原菌が入り込んできても闘うことができず、病原菌に押し込まれてしまうのです。
つまり炎症が起きず、自覚症状がないままに歯ぐきは病原菌に侵されていくのです。
喫煙者の歯ぐきは、タバコを吸わない人の歯ぐきより10年〜20年廊下が早まると言われています。
皆さんに「禁煙してください」とは言えませんが、これが事実です。
タバコを吸う人は自分の歯ぐきを鏡でよくチェックしてみてください。
「一流の人の歯は、なぜ白いのか?」植木ゆかり先生著(http://www.amazon.co.jp/dp/4426118611/#immersive-view_1421303118965)より抜粋